ご挨拶

新生児慢性肺疾患に関する研究班のホームページにご訪問いただき、誠にありがとうございます。本ホームページは、患者さんやご家族、診療・研究に携わる医療従事者・研究者の方々に対して、新生児慢性肺疾患の概要、研究の進展、最新の情報などをお届けすることを主な目的としています。

本研究班「新生児慢性肺疾患の移行期医療を含む患者実態の解明と普及啓発への戦略的研究」は、2021年に厚生労働省難治性疾患政策研究事業「新生児慢性肺疾患の診断基準・病型分類の策定、疾患レジストリの構築、および診療ガイドラインの作成に関する研究」として発足しました。以来、新生児慢性肺疾患の疫学、病因、診断、治療の解明を目指し、4年間にわたりわが国における本領域の研究の進歩・発展に大きく貢献してきました。当研究班では、2023年に「新生児慢性肺疾患の新たな病型分類」を策定し、2021年からは「早産児の慢性肺疾患の予防・治療のための診療ガイドライン」の作成・改訂を継続的に行っています。現在は、新たなエビデンスに基づき、診療ガイドラインやマニュアルのさらなる改訂につなげるべく、現状と課題の整理を進めています。

新生児慢性肺疾患は、早産・低出生体重児に生じる代表的な呼吸器合併症であり、発症率の上昇、長期予後の不良、診断基準の不確定、疾患レジストリの未整備、国内における現状の未把握、診療ガイドラインの老朽化など、さまざまな課題が山積しています。加えて、NICU退院後も在宅医療を必要とする「医療的ケア児」としての支援の重要性も増しています。このような背景のもと、特異的治療法の確立や、新生児期から小児、さらには成人期までを見据えた一貫したNational Registryの構築が強く求められています。

本研究班では、新生児慢性肺疾患およびこれに罹患した医療的ケア児のわが国における実態を明らかにし、診断・治療の質の向上に資するエビデンスの創出と、ガイドラインの改訂を目指しています。あわせて、国内における診療体制の現況を把握し、適切な対策や体制整備を推進することで、新たな診断・治療法の開発を通じて、この難治性疾患の克服を目指します。
私たちの研究の根底には、患者さんやご家族の生活の質を向上させ、未来に希望を持てる医療の実現に貢献したいという強い使命感があります。そのためには、医学的知見の蓄積に加えて、多くの医療関係者、研究者、そして患者・家族の皆様との連携と協力が不可欠です。

今後も本ホームページを通じて、研究の進展や最新情報を随時発信してまいります。皆様からのご意見、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。そして今後とも、この困難な課題に真摯に取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

研究班 班長
埼玉医科大学総合医療センター小児科
難波 文彦