新生児慢性肺疾患(Chronic Lung Disease, CLD;またはBronchopulmonary Dysplasia, BPD)は、早産児に多くみられる慢性の呼吸器疾患です。
特に、出生後に人工呼吸器や高濃度酸素療法を必要とする極低出生体重児(出生体重1,500g未満)や超低出生体重児(1,000g未満)に高い頻度で発症します。肺の発達が未熟な状態で生まれた赤ちゃんの肺に、出生前の子宮内環境や出生後の治療過程で炎症や障害が加わることで、肺の成長が阻害され、慢性的な呼吸機能の低下を引き起こします。
修正36週時点で酸素投与を必要とするCLDは、在胎28週未満で出生した超早産児のおよそ25%に認められるとされています。日本では医療の進歩により救命率は向上していますが、それに伴いCLDの患者数も増加傾向にあります。一般に、在胎期間が短いほど、また出生体重が小さいほど、CLD発症のリスクは高まります。
CLDの主な原因は、以下のように多因子的とされています:
現在のところ、CLDが遺伝的に直接引き起こされることは稀とされていますが、肺の発達や修復機構に関与する遺伝的素因が、発症リスクに影響を与える可能性も報告されており、研究が進められています。
CLDにみられる症状は多岐にわたります:
CLDの診断は、一般的に以下の基準に基づいて行われます:
また、診断の補助として、胸部X線検査、呼吸機能検査、血液中の酸素分圧や酸素飽和度の測定などが用いられます。
多くの赤ちゃんは、成長とともに呼吸機能が徐々に改善していきますが、重症例では長期にわたる呼吸管理や入院、呼吸器感染症などによる再入院が必要となる場合もあります。予後は個々の病態によって異なり、以下のような経過をたどることがあります:
CLDのあるお子さんが健やかに成長するためには、以下のような日常的な配慮が大切です: